タケイ・E・サカエ HOUR TOPページへ

つぶやき18
「おいしかったもの」

2003年で一番おいしかったもの。

それは、7月、フジロックへ行った2日目、大雨のテント内で寝袋にくるまり、
かすかな懐中電灯の光で、やむを得ず持ってきてしまった仕事のラフをひねり出しながら
ちびちび飲んだスキットル・ボトルに入れたシングルモルトだ。
外は地面とテントを容赦なく叩き付ける雨の降りしきる音と遠くから聞こえる大音響のシャワー。
音の地響きに包まれながら、液体を大切に口に含ませ、のどに送り込む。身体があったまる。
苗場の地面に寝転びながら、スコットランドの大地のことを思う。
心から幸福だと感じた。なんて素敵な夜なんだ!
辛いはずのこんな夜がなんとも特別な忘れられない夜になってしまった。

そして「こんな楽しみ方もあるんだ」と、今まで以上に、このお酒に親しみが湧いた貴重な体験だった。

戻る


2004/01/05掲載 (C)タケイ・E・サカエ2003